株式会社トライリスタ

介護でお悩みの方介護疲れとその対策について

少子高齢化が進む現代の日本において、家族による介護の負担は年々大きくなっています。要介護者の生活を支える家族は、日々のケアに追われながらも、自身の生活や健康を犠牲にするケースが少なくありません。そうした中で「介護疲れ」という言葉が一般的に使われるようになりました。介護疲れの実態や背景、症状、そして具体的な対策について詳しく解説します。

介護疲れとは何か?

介護疲れとは、長期間にわたって介護を続けることで、身体的・精神的・社会的に消耗してしまう状態を指します。特に高齢の親を介護する中高年世代や、仕事と介護の両立を迫られる「ダブルケア」世代では、その疲弊度が深刻な社会問題になっています。

背景にある社会的要因

高齢化社会の進展

日本の高齢化率は2024年時点で29%を超え、世界でも最も高い水準にあります。要介護者が増える一方で、介護を担う側の人口は減少しています。

在宅介護の増加

介護施設の不足や費用の高さから、多くの家庭では在宅での介護を選択しています。しかし、家庭での介護は24時間体制となることも多く、介護者の負担は非常に大きいです。

支援制度の不十分さ

公的な介護保険制度や地域支援は整備されているものの、十分に利用されていない、あるいは制度の複雑さや手続きの煩雑さから活用できていないケースもあります。

介護疲れの主な症状

介護疲れは、以下のような身体的・精神的な症状として現れます。

  • 慢性的な疲労感や睡眠障害
  • イライラや怒りっぽくなる
  • 抑うつ状態、無気力
  • 胃腸不調、頭痛、肩こりなどの身体症状
  • 社会的孤立感、外出の減少
  • 要介護者への感情的対応(怒鳴ってしまう、無視するなど)

特に注意すべきは「うつ状態」の進行です。介護者自身が心の病を抱えると、介護の継続が困難になるばかりか、最悪の場合には虐待や心中といった悲劇に繋がるケースもあります。

介護疲れを防ぐための対策

介護サービスの積極的な利用

介護保険制度を利用すれば、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの支援を受けることができます。すべてを一人で抱え込まず、プロの手を借りることは決して「手抜き」ではありません。まずは地域包括支援センターに相談し、自宅の状況や要介護者の状態に合ったサービスを検討しましょう。

家族や周囲の協力を得る

日本では「介護は長男の嫁がやるもの」といった旧来の価値観が残っていることもありますが、現代においては家族全体で役割を分担することが不可欠です。兄弟姉妹で話し合い、当番制にする、費用負担を分けるなどして協力体制を築くことが重要です。

介護者自身のケアを怠らない

介護に全てを捧げてしまうと、自分の心身の健康を見失いがちです。たとえ短時間でもよいので、趣味やリラックスタイムを確保するよう意識しましょう。音楽を聴く、散歩する、友人と話すなど、心がほっとする時間を作ることが回復の鍵となります。

相談できる相手を持つ

介護について悩んでいること、苦しんでいることを話せる相手の存在は非常に重要です。家族だけでなく、友人、地域のケアマネジャー、SNSやオンラインの介護コミュニティも役立ちます。話すことで自分の感情を整理でき、精神的な負担を軽減できます。

介護者支援制度の活用

一部の自治体では、介護者向けのカウンセリング、交流会、講座などを開催しています。これらの機会に参加することで、情報交換やストレス発散が可能です。介護者同士のつながりができることも、大きな支えとなります。

介護と向き合う心構え

介護は一時的な出来事ではなく、何年にもわたる長期戦になることが多いです。そのため、「完璧を求めない」「頑張りすぎない」という心構えが必要です。時には「少し手を抜く」「できないことは他人に任せる」ことも大切な判断です。

また、介護を通じて自分自身が成長できる面もあります。人の弱さに寄り添う力や、思いやりの心が深まることは、人生の中でもかけがえのない経験となるでしょう。

介護疲れは誰にでも起こり得る深刻な問題

家族のために献身的に尽くすことは尊いことですが、それによって自分自身が壊れてしまっては本末転倒です。大切なのは、「一人で抱え込まない」こと。そして、社会の支援制度や周囲の助けを上手に活用し、介護者自身の心身の健康も守ることです。

介護は孤独ではありません。誰かに頼っていい、助けを求めていいのです。その一歩が、より良い介護とより良い人生を築くための礎になります。

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