株式会社トライリスタ

お役立ちコラム【遠距離で出来る】離れて暮らす親の介護方法

親が高齢になり、介護が必要な状況になると、多くの人が直面する大きな課題があります。特に、遠距離で暮らしている場合、身体的な距離だけでなく、精神的な負担や介護の進め方に対する不安が重なり、どのように対応すればよいのかが分からない方も多いのではないでしょうか。

現代社会では、仕事や家庭の事情で、親と離れて暮らさざるを得ないケースが増えています。しかし、実際に親の介護が必要になると、遠距離で介護を続けることの難しさを痛感します。頻繁に面倒を見に行くことができない、親の健康状態を正確に把握することが難しい、何かあったときにすぐに駆けつけることができない—これらの問題に直面することになります。

それでも、距離があってもできることはたくさんあります。技術の進化や地域のサポート体制を利用すれば、物理的に遠くに住んでいても、親の介護をサポートすることが可能です。この記事では、遠距離で親を介護する方法に焦点を当て、どのように効率的に介護を進めるか、また心の負担を軽減するための工夫について詳しくご紹介します。

定期的なコミュニケーションの重要性

“習慣化”がもたらす安心感

離れて暮らす親にとって、子どもや大切な人からの連絡は心の支えになります。電話やメッセージが不定期だと「忘れられているのでは」という不安が生まれることも。最初は照れくさくても、「毎週〇曜日は電話するよ」とルール化することで、家庭の安心感につながります。

コミュニケーション手段の組み合わせ

音声電話 スマホや固定電話
ビデオ通話 LINE、Zoom、FaceTime
文字メッセージやSNS 日常のやり取りに使用します
グループチャットの活用 家族みんなでやり取りする場を作ることで、親が自分も話す場を持てます

顔を見て話すことは、声だけでは判断しにくい「表情」や「表情の変化」の把握につながります。さらに、「最近どう?」「今日はいい日だった?」など、雑談中心のやさしい内容でも構いません。

テクノロジーによる遠隔見守り

見守りカメラの導入

部屋の一角にスマートカメラを設置。家にいなくても、朝起きた時間や、外出・就寝の様子が確認でき、安心につながります。ただし、プライバシーへの配慮から、寝室、トイレなどプライベートな空間は避けましょう。また、録画・保存する場合は、映像を家族だけが見られるよう、パスワード管理をしてください。

人感&ドアセンサー、転倒センサーなどの導入

人感センサー 一定時間動きがないと通知が来る
ドアセンサー 出入りの回数と時間を記録
転倒センサー 緊急時に家族やサービスへ自動通報

自動で異常を検知してくれるため、離れていてもすぐに異変に気付け、対応が可能です。

スマート家電で生活リズムチェック

スマート照明 点灯・消灯履歴から生活時間を把握
スマート温度調節(エアコン・ヒーター) 室温の変化や使用頻度がわかります
スマートプラグ 家電使用時間をモニターできる小型デバイス

スマート家電で生活リズムチェック

地元の介護サービス活用

地域包括支援センターとの連携

地域包括支援センターは「介護予防」「福祉」「生活支援」の窓口。ケアマネージャーとも連携しながら、遠距離からでも相談が可能です。例えば家族が仕事中で駆け付けにくい場合でも、センターから地域の訪問サービスをコーディネートしてもらえます。

訪問介護・生活支援サービス

訪問介護 買い物、入浴、排せつなどサポート
生活支援 掃除、調理、話し相手など、生活に必要なサポートを受けられる

施設サービスの選択肢

デイサービス 日帰りで入浴・食事・リハビリ等を受けられる
ショートステイ 要介護認定を受けている場合に短期間の施設利用ができる
グループホーム・サービス付き高齢者住宅 日常支援が手厚く、将来的にも選択肢に入ります

地元サービスを使うことで、プロによるケアが加わり、遠く離れた家族も心理的に安心できます。

緊急時の備えと家族間での連携

連絡網・緊急対応マニュアルの作成

緊急時に備え、電話番号や対応先、流れを一覧化し家族間で共有します。A4用紙1枚でも良いので、自宅やオンラインで誰でもアクセス可能な場所に保管をしておきましょう。

同意・希望の確認

医療への希望 延命治療の有無、緊急時の病院搬送の意向
介護施設等への希望 将来ショートステイやグループホームを選ぶかどうか

書面だけでなく家族で話す機会を持ち、親自身の意思を尊重することが安心感につながります。

近隣ネットワークとの連携

親が暮らす地域の隣人、民生委員、友人などのネットワークも味方になります。「毎日声をかけてくれる人がいる」だけで親の安心感・回復力も違います。

帰省・訪問のタイミングを設計する

帰省ルールの作成

  • 年に1回、夏休みに長めに滞在
  • 冬に1回、体調が崩れやすい時期に訪問
  • 医療や行政の手続き時に合わせて必ず帰省する

など、周囲にも伝わるスケジュール化が大切です。

帰省時のチェックリスト

健康状態チェック 体重測定や血圧、尿の色など
住環境チェック 段差、滑り止め、手すり、バリアフリー確認
生活用品・食料 日用品の補充、買い物同行、地域の情報収集

「気持ち」のケアとしての訪問

帰省は、物理的な確認だけでなく、親に「会いに来た」という存在感を与え、孤独感の軽減や心の安心につながります。

お金・制度の活用

介護保険の活用

介護保険は、原則65歳以上(第1号被保険者)の要介護認定を受けることで、介護サービスの費用を1~2割の自己負担で利用可能。ケアマネージャーによる計画作成もありますので、遠距離でも連携できます。

補助金・給付制度

地域によっては、高齢者の見守り支援や住宅改修(一時工事費補助)に自治体から補助が出ることがあります。遠方からでも市区町村の窓口やHPで確認し、必要な手続きは家族が代行してもよいでしょう。

金銭管理の工夫

  • 口座振替へ切り替えなど、公共料金の払込手数料軽減
  • クレジットカード+引き落としの設定(家族名義のカードを渡しておいてもよい)
  • 生活費に合わせた月1回の定期支援など、家計支援のための振込スケジュール

心理的・精神的なサポート

孤独感への配慮

単調な生活は心の健康に悪影響を与えることがあります。

  • ラジオ体操や民生委員のグループ参加
  • 趣味・講座(カルチャー教室やサークル)
  • SNSを活用したオンラインでの仲間づくり

遠距離の家族自体の“ケア”

親のことが気になり、精神的に疲弊してしまうケースもあります。
遠距離介護をする家族自身も、

  • 自治体の介護情報相談窓口
  • 介護者の会・NPOの情報共有グループ
  • カウンセリングやオンライン相談

を活用して、支えや情報交換・気持ちの共有を行いましょう。

まとめ

遠距離介護に必要なのは、

  1. 定期的なコミュニケーション
  2. テクノロジーを活用した見守り
  3. 地域資源の最大活用
  4. 緊急対応の整備
  5. 計画的な帰省と訪問
  6. 制度・金銭面の整備
  7. 心のケア

これらを組み合わせて継続することで、たとえ離れていても、親の身体的・精神的な支えとなり、家族全体にとっても安心感を得ることができます。まずはできることから。離れて暮らしていてもあなたの想いはきっと届きます。ぜひ今日から新たな一歩を踏み出してみてください。

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