株式会社トライリスタ

介護サービスの受け方

介護認定の申請

介護サービスを利用するためには、まず「介護が必要かどうか」や「どの程度の介護が必要か」を公的に認めてもらう必要があります。これを「介護認定」といいます。

申請場所

お住まいの市区町村の役所の介護保険担当窓口
または地域包括支援センターでも相談・申請ができます。

申請者

  • ご本人
  • 家族
  • 代理人(ケアマネジャーなど)

必要書類

  • 申請書(窓口で記入または郵送)
  • 健康保険証など本人確認書類

介護認定調査

市区町村の職員(介護認定調査員)が本人の自宅を訪問し、身体の状態や日常生活の状況について聞き取りを行います。
介護認定調査は、介護がどの程度必要かを客観的に把握し、適切な介護度を判定する為に行われます。

調査内容

身体状況 食事、排泄、入浴の自立度、移動や歩行の状態、着替えや整容の能力
認知機能の状態 認知症の有無や症状、判断力や意思伝達能力
日常生活の様子 家事(掃除や調理など)の実施状況、外出の頻度や方法、家族や周囲の支援の状況
その他 健康管理の状況、心理・行動の問題の有無

調査の流れ

  1. 調査日時の連絡
  2. 訪問調査の実施
    ※20分~1時間程度かかることが多いです。
  3. 必要に応じて家族や介護者にも確認

調査は医療行為ではなく、介護の必要度を判断するためのものなので、不安があれば事前にケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。

主治医の意見書

主治医(かかりつけ医)が、本人の健康状態や病状、介護の必要性について意見書を作成し、市区町村に提出します。

主治医の意見書とは?

介護サービスの介護認定審査で、本人の医療的な状態や介護の必要性を判断するための重要な資料です。
介護認定調査の内容だけでなく、医師の専門的な視点からの情報を加味して、適切な介護度を決める役割を持っています。

意見書に記載される主な内容

  • 本人の疾病や障害の状況
  • 心身の状態(身体機能や認知機能など)
  • 日常生活での介護や医療の必要度
  • 今後の治療やケアの見通し
  • 緊急時の対応など医療的な注意点

意見書の作成方法と流れ

  1. 本人または家族が主治医に意見書作成を依頼
    ※介護認定申請時に市区町村から医師に依頼することもあります。
  2. 医師が診察やカルテの情報をもとに作成
    ※診察の際に詳しく話を聞かれる場合もあります。
  3. 意見書は市区町村の介護保険担当に提出されます

意見書がない場合の影響

介護認定の審査が遅れる可能性がある。
認定結果に影響が出ることもあるため、スムーズに取得することが重要です。

介護認定審査会による判定

介護認定調査の結果と医師の意見書を基に、審査会で介護が必要な度合いを判定します。

介護認定審査会とは?

介護認定審査会は、市区町村が設置する第三者機関で、医師や介護、福祉の専門家がメンバーになっています。主な役割は、介護認定調査や主治医の意見書をもとに、介護がどの程度必要かを客観的に判定することです。

判定の流れ

  1. 介護認定調査の結果の分析
    調査員が訪問調査で得た情報をもとに、本人の身体・認知機能、日常生活の自立度などがデータ化されます。
  2. 主治医の意見書の内容確認
    医師からの専門的な健康状態や医療ニーズについての意見を検討します。
  3. 審査会での総合判定
    調査結果と医師意見書を合わせて、介護がどの程度必要か判断します。
    コンピューターによる一次判定(コンピュータ判定)と専門家の二次判定(審査会判定)があります。

判定される介護度の区分

介護認定調査の結果と医師の意見書を基に、審査会で介護が必要な度合いを判定します。

判定結果は、要支援1・2、要介護1~5の7段階に分かれます。

  • 非該当(要介護認定なし):介護が不要な状態
  • 要支援1~2:日常生活で軽度の支援が必要
  • 要介護1~5:身体状況に応じて1が軽度、5が重度の介護が必要

関連リンク:要介護と要支援の違いについて

判定のポイント

  • 日常生活の自立度、認知症の有無、医療的ケアの必要性などを総合的に判断されます。
  • 介護サービス利用の基準となる重要な判定です。

認定結果の通知

申請から約30日以内に結果が郵送されます。
認定された場合は、「認定証」と「介護保険被保険者証」が交付されます。

ケアプランの作成(介護サービス計画)

ケアプランは、介護サービスを利用する際の「計画書」です。
本人の状況や希望に合わせて、どんなサービスをどのくらいの頻度で利用するかをまとめたものです。

ケアマネジャーの役割

認定結果を受けて、介護支援専門員(ケアマネジャー)が本人や家族と面談し、サービスの希望や目標を聞きます。
日常生活の課題や要望に応じて、利用できる介護サービスを組み合わせたケアプランを作成します。

ケアプラン作成の目的

  • 介護サービスの利用を効果的かつ無理なく行うための指針を作る
  • 本人や家族の希望や生活スタイルを反映させる
  • 利用者とサービス提供者の間の連携をスムーズにする

ケアプラン作成の流れ

  1. ケアマネジャー(介護支援専門員)との面談
    本人・家族の生活状況や介護のニーズ、希望をヒアリングします。
    健康状態や生活課題、介護の困りごとを詳しく聞き取ります。
  2. アセスメント(状況把握)
    介護認定結果や医療情報、本人の生活環境を総合的に分析。
    介護サービスを利用する目的や優先課題を明確にします。
  3. ケアプラン案の作成
    利用できる介護サービスの種類や内容(訪問介護、デイサービス、福祉用具など)を組み合わせて計画を作成。
    サービス利用の頻度や時間、担当事業所なども決めます。
  4. 本人・家族への説明・調整
    ケアプラン案を本人・家族に説明し、納得してもらいます。
    希望や問題点があれば、内容を調整します。
  5. ケアプランの確定・提供開始
    最終的に決まったケアプランを市区町村に提出。
    ケアプランに基づき、介護サービスの利用が始まります。

※ケアプランは定期的(3~6ヶ月ごと)に見直し、本人の状況や希望に応じて内容を更新します。

ケアプランの種類

居宅サービス計画 自宅で介護サービスを受ける人向けの計画
施設サービス計画 介護施設でサービスを受ける人向けの計画

ケアプランの内容

ケアプランは、本人の生活状況や介護ニーズに合わせて、以下のような項目で構成されています。

(1)基本情報
  • 本人の名前、住所、連絡先
  • 介護認定の状況(要介護度、認定期間)
  • 家族構成や支援者情報
(2)本人の状況・課題
  • 健康状態や障害の状況
  • 日常生活動作(食事、排泄、移動、入浴など)の自立度
  • 認知機能や精神状態
  • 生活環境(住宅の状況、家族の支援体制など)
(3)介護サービスの目標
  • 生活の質を維持・向上させるための具体的な目標設定
    例:転倒を防止する、歩行能力の維持、社会参加の促進など
(4)利用するサービス内容
  • 利用するサービスの種類と内容
    例:訪問介護(週3回、1回1時間)、デイサービス(週2回)、福祉用具レンタルなど
  • サービス提供事業者の情報(名称、連絡先)
  • サービス利用の頻度・時間・期間
(5)自己負担額の見込み
  • 利用するサービスごとの費用と、介護保険適用後の自己負担額の目安
(6)緊急時の対応
  • 緊急連絡先や対応方法
  • 健康状態が急変した際の連絡体制など
(7)その他の支援や助言
  • 生活上のアドバイスや福祉用具の提案
  • 家族支援や介護者の負担軽減策など

ケアプランは、本人や家族の希望を最大限尊重して作られます。
必要に応じて柔軟に変更できるよう、相談しながら進めることが大切です。

介護サービスの利用開始

ケアマネジャーが介護サービス事業者と連絡を取り、利用の手配をします。
サービス提供者が訪問や通所サービスを開始します。

代表的なサービス例

訪問介護(ホームヘルパー) 掃除や洗濯、食事の介助など自宅での支援
通所介護(デイサービス) 日帰りで施設を利用し、入浴やレクリエーションを受ける
ショートステイ 短期間施設に泊まって介護を受ける
福祉用具貸与 杖や車椅子、介護ベッドなどのレンタル

料金・自己負担

介護保険適用サービスは、原則1割〜3割の自己負担があります(収入によって異なる)。
ケアプランに沿ったサービス利用分が対象で、超過分は自己負担になることも。

関連リンク:介護に関する支援制度

サービス利用中の見直し

介護サービスを利用し始めた後も、本人の身体状況や生活環境は変わっていきます。
そのため、介護サービスの内容や利用計画(ケアプラン)を定期的に見直して、本人に最適な支援が続けられるように調整することを「見直し」と言います。

見直しが行われるタイミング

(1)定期的な見直し

ケアマネジャーが原則3ヶ月~ヶ月ごとに本人や家族と面談してケアプランの効果や満足度を確認し、必要に応じて内容を修正します。

(2)状態変化があったとき

怪我や病気で身体の状態が変わった場合や、介護の負担が増減したときは随時見直しが可能です。

(3)介護認定の更新時

介護認定が1年ごと(または期間によっては半年)に更新される際にも、介護度の変化に合わせてプランが見直されます。

見直しの内容

  • もっとリハビリを増やしたい、訪問介護の頻度を減らしたいなどの「利用サービスの種類や回数の調整」
  • 福祉用具の追加やデイサービスの変更などの「新しいサービスの導入や中止」
  • 介護者の負担軽減、本人の希望を取り入れるなどの家族の状況や希望の反映

見直しの流れ

  • ケアマネジャーが本人・家族と面談し、現状の課題や要望をヒアリングします。
  • 利用中のサービス提供事業者と連携し、必要なサービスの追加・変更・削減を検討します。
  • 本人・家族に説明し、修正内容について同意をいただきます。
  • 新しいケアプランでサービス再開されます。

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